カメラを固定するために使用する撮影機材である三脚。
とてもシンプルな役割の撮影機材ですが、これがあると表現できる写真の幅が広がったり、面白い動画を作ることも可能になります。
本記事ではそんな三脚の活用シーンを解説した上で、正しい使い方を紹介していきます。
本記事を読めば三脚に関する知識がぐっと深まると思うのでぜひ最後までお付き合いください!
三脚の活用シーン・使い道
冒頭でも紹介した通り、三脚を使うと表現できる写真の幅が広がります。ここでは過去に撮影した作例を交えて具体的な活用シーンを7つ紹介します。
①高画質な夜景を撮影する
展望台などでカメラを手持ちの状態で夜景を撮る場合、手ブレを回避することを最優先に考えて下記のようにカメラを設定せざるを得ません。
- F値を開放に近づける
- ISO値を上げる
- シャッタースピードは1/50程度にする
このような設定で撮影した写真はどうしてもノイズが多く乗ってしまうし、写真全体にピントが合わない場合も出てきます。
そこで登場するのが三脚。三脚でカメラを固定すれば、下記のような設定で手ブレを気にすることなく夜景をクリアに撮ることができます。
- F値を8.0程度まで絞れる
- ISO値を上げないで済む
- シャッタースピードは何秒でも構わない
②車の光跡を撮影できる
三脚を使うとシャッタースピードを自由に調整できるようになるため、長時間露光での写真撮影が可能になります。
長時間露光での写真撮影を楽しめる身近な例として紹介するのは道路周辺での夜景写真撮影。
カメラの前を車が通り過ぎる前後10秒ほどの時間を切り取れば、肉眼では見ることができないダイナミックな光跡を撮ることができます。
③噴水や川など水の流れを美しく表現する
噴水や川・滝など水が流れている場所は長時間露光と相性が良いです。
5~10秒ほどの長時間露光を行えば、水の軌道が白い糸状になって写し出されるため、幻想的な一枚を撮影することができます。
上記は東京都内にある和田蔵噴水公園で撮影した夜景写真。2基の噴水塔から水が流れる様子を5秒ほど長時間露光で捉えています。
④花火を撮影する
夏の風物詩である花火も三脚が活躍するシーンの一つ。
ケーブルレリーズを用意して適切な設定を行った上で下記のような撮影を行うと鮮やかな花火を撮影することができます。
- 花火が打ち上がると同時にシャッターボタンを押す
- 花火が上空で消えるのを確認したらシャッターボタンから指を離す
なお、花火会場での三脚利用は禁止されている場合もあります。しっかりマナーを守った上で花火の撮影にチャレンジしてみてください。
⑤星の軌跡を撮影する
三脚を用いてカメラを固定した状態で夜空を撮影すると、星が少しずつ移動している様子を捉えることができます。
これを1~2時間ほど連続して撮り続けて、撮影した写真を合成すると上記のような写真を作ることもできます。
撮影にかかる時間が長いですし、空に雲がかからないタイミングを見計う必要があるので撮影ややや面倒ですが、写真に仕上がった時の感動は大きいです。
⑥HDR撮影で見たままの景色を切り取る
カメラは明るい場所と暗い場所の差が激しい場所が苦手です。
写真を撮っていると部分的に白飛び or 黒つぶれして、見たままの景色を撮影できないと悩むことも多いと思います。
そんな時には下記3枚の写真を別々にとってPhotoShopなどでHDR合成を行うのがおすすめ。
- 一番明るい部分に合わせた写真
- 一番暗い部分に合わせた写真
- 中間の明るさの写真
HDR合成を行うためには複数の写真を同じ場所から取る必要があるため、三脚の活用が必須になります。
⑦タイムラプス動画を撮影する
三脚があると写真撮影の表現が広がるだけでなく、タイムラプス映像も作ることができます。
上記は夕方から夜にかけて徐々に変化していく街並みをとらえた映像集。撮影にかかる所要時間が長く手間がかかる撮影技法ですが、とてもドラマチックな映像を作成することができます。
三脚の正しい使い方・カメラの設定
三脚を用いて写真撮影を行うためにはいくつか注意点があります。
三脚の正しい使い方・カメラの撮り方を知らないと、貴重なシャッターチャンスでイメージしていた写真が撮れなかったり、機材を倒してしまうリスクがあるのでチェックしておきましょう。
①しっかり脚を広げる
三脚は中途半端に開いた状態で設置すると不安定になります。
不安定な状態で撮影をしていると風で三脚が倒れてしまうことがあるので、開脚ストッパーで止まるところまでしっかり開きましょう。
またカメラを設置する場所はコンクリートやアスファルトなどの硬い地面がベストです。
②脚1本が正面くるように設置
三脚の脚は被写体側に1本、手前に2本来るのが基本です。被写体側に2本、手前に1本の状態だと、三脚の脚を蹴ってしまったり、被写体側にカメラが倒れてしまう可能性が出てくるためです。
三脚にはロゴが描かれている脚が一本あるので、それが被写体側に向くようにしましょう。
③脚は太い方から使う
三脚の脚は下段になるにつれて細くなるように作られています。
細い脚は強い風が吹いたり振動が加わった時にブレやすいので、安定しやすい太い脚から優先して使いましょう。
④センターポールを使うのは最終手段
センターポール(エレベーター)を使うと三脚が不安定になりやすいです。
そのため、脚を最大限に伸ばしても高さが足りないときに以外は、センターポールを使うのは避けましょう。センターポールは非常用と覚えておいてください。
⑤マニュアルフォーカスに変更&手ぶれ補正をオフに
三脚を利用する場合はマニュアルフォーカスに変更し、手動でピントを合わせるのが基本です。
また、レンズに手ぶれ補正がついている場合はOFFに切り替えましょう。手ぶれ補正をONにしたままだと、手ブレ補正が誤作動を起こして写真がぶれる可能性を減らすことができます。
⑥シャッターはレリーズを用いて切る
三脚に固定したカメラのシャッターボタンを直接押すと、その瞬間に微妙にカメラが揺れて手ぶれする可能性が出てきます。
そのような事態を避けるために、三脚利用時はレリーズを使用してシャッターを切るのが基本です。
もしもレリーズがない場合は、カメラのセルフタイマー機能を使ってシャッターボタンに直接触れないでシャッターを切るようにしましょう。
⑦ミラーアップに設定を変更(一眼レフカメラのみ)
一眼レフには、「ミラー」という部品があります。この部品はシャッターを押す度に、パカパカと動きます。このミラーの動きでカメラが微妙に動いてしまい、写真がブレることを「ミラーショック」と呼びます。
ミラーショックを避けるために、三脚を利用する際は「ミラーアップ」に設定を変更しましょう。ミラーアップにすればシャッターを押すたびにミラーがパカパカと動かなくなり、写真がぶれなくなります。
※ミラーレス一眼カメラの場合は「ミラーショック」は起こらないので、設定変更の必要はありません。
初心者におすすめの三脚
これから初めて三脚を購入する場合、まずはトラベル三脚を購入するのがおすすめ。
トラベル三脚はコンパクトに折りたたむことができ、どこへでも気軽に持ち運ぶことができるからです。ここではそんなトラベル三脚の中からおすすめのアイテムを2つ紹介します。
K&F Concept トラベル三脚(D254C1+BH-28L)
トラベル三脚は脚の素材に下記いずれかを採用しているのが一般的。
- アルミニウム
- カーボン
カーボンは軽量で持ち運びがしやすく、それでいて耐候性、耐食性、耐傷性に優れています。高価なのがネックですが、最初の三脚はカーボン製を選ぶのがベターです。
そんなカーボン製三脚の中でまずおすすめしたいのが「K&F Concept トラベル三脚(D254C1+BH-28L)」。
K&F Conceptは高品質な撮影機材を安価に提供してくれているメーカーで高価で手が出しづらいカーボン製三脚をなんと一万円台で購入することができます。
最大10kgの機材まで乗せることができるので一眼カメラ+望遠レンズのような組み合わせでも問題ありません。また、全高も158cmと高いので様々な撮影シーンで使用することができます。
Manfrotto befree GT XPRO カーボンT三脚キット(MKBFRC4GTXP-BH)
カーボン製のトラベル三脚として2つ目におすすめしたいのは、Manfrotto befree GT XPRO カーボンT三脚キット(MKBFRC4GTXP-BH)というアイテム。
「丈夫な三脚は重い」という常識を覆し、1.76kg・縮長43cmのコンパクトに抑えつつ、約12kgまでの機材積載を可能にしました。
上記で紹介した三脚の上位互換と呼べるクオリティのアイテムです。
マンフロットは三脚の代表的なメーカーで製品のデザイン自体も非常にかっこいいので機能面もプロダクトデザインも妥協したくないという方におすすめです。
三脚の活用シーン&正しい使い方まとめ
三脚を用いてカメラを固定すると綺麗な夜景写真が撮れるようになるだけでなく、肉眼では捉えることができない幻想的な光景を写真におさめることができます。
今回紹介した正しい使い方を押さえた上でぜひ三脚を活用して様々な写真撮影を楽しんでください!
それでは今日はこの辺で。
この夜景スポットに訪れた感想